2017/09/25 最新補綴臨床の実際(2017年9月16日学術研修会) 植松 秀人
 秋の気配も日に日に濃くなり、過ごしやすい季節になってまいりました。皆様お変わりございませんか?
去る9月16日福岡県歯科医師会一階会議室にてタディーミーティングが開催されましたのでそれについて報告します。今回のスタディーミーティングのメインテーマは最新補綴臨床の実際について。まず初めに、技工士の小田さん、武石さんより各セラミック修復物について発表がありました。当法人では現在IPS-Emax、ジルコニアセラミック、セレック冠、メタルボンドの4種類ものセラミック修復物作製が可能であり、それについて作製方法及び特徴について技工士の観点から説明していただきました。その後、島理事からは当法人の赤坂総合デンタルクリニックに導入された最新のミリングマシンであるNobel Biocare Proceraについて実際の応用例をもって説明していただきました。それにより作製したサージカルステントを用いて幅広いインプラントケースにて精密で安全な埋入が可能となります。また様々な補綴ケースで強靭にかつ審美的に活躍するマルチレイヤードフルジルコニアの作製も可能となります。森藤先生、安田先生、佐藤先生からはジルコニアクラウン、E-max Crown、E-max インレーの実際の臨床例について反省点を踏まえて発表していただきました。シンプルで明解な発表で同じ臨床医としては日々の臨床のヒントが提供された内容でした。外部講師として奥永歯科技工所の木全技工士より新素材TUMについて紹介していただきました。TUMは弾力のある特殊ナイロンで生体に優しく、耐久性に優れた材料で、メタルフリーの審美修復を実現できます。種々のケースに対応が可能であり、これからの歯科修復材料として非常に活躍が期待でき、大変興味深いものでした。当法人の案西浩平理事長からはBPSデンチャーについて講義していただきました。BPSデンチャーとはBiofunctional Prosthetic Systemの略でイボクラービバデント社が開発した生体機能的補綴システムの略です。とても精密な義歯(入れ歯)であり、しっかり噛める、痛くない、外れない、美しい、といった機能性と審美性を実現した義歯作製システムです。天然歯と見分けがつかないレベルの人工歯を使用し、粘膜も血管まで再現した精密な審美性を有しています。義歯の見た目のリアリティから審美性に目が行きますがクオリティが高いのは審美性だけではなく、高度な機能性を有しています。アキュトレー、セントリックトレーを用いた精密印象を行いフェイスボウやナソメーター等を用いて顎機能機能計測をした後、強靭で審美的なイボベースレジンによりBPSデンチャーは作製されます。複雑な工程で、見慣れない手技・材料ではありながら多くのスライドを使いわかりやすく説明していただきました。当法人から患者さまに提供できる選択肢が一つ増えたのと同時に部分的にでもこの理論を取り入れて日々の臨床に応用可能となりえる講義内容でありました。
 診療の後にもかかわらず遅くまで参加していただき皆様お疲れ様でした。特に発表者の方々におかれましては日々多忙な診療の合間に発表準備をしていただき本当にありがとうございました。
勉強会の様子